臨床心理士になれなかった人間がそれでも臨床心理の勉強をやめられないブログ

臨床心理士になれなかった人間がそれでも臨床心理の勉強をやめられないブログです。ここでは私がお金をかけて集めた臨床心理系の本の紹介や自習メモを書き綴ります。カテゴリーは一番下へ。

精神分析体験:ビオンの宇宙 対象関係論を学ぶ 立志編 (松木 邦裕先生)


おはようございざます


本日はこちら


精神分析体験:ビオンの宇宙

精神分析体験:ビオンの宇宙―対象関係論を学ぶ立志編

精神分析体験:ビオンの宇宙―対象関係論を学ぶ立志編



はい、ビオンです

ビオンといえばクラインの弟子で対象関係論を発展させた人物の一人。

「コンテイナー/コンテインドcontainer/contained)」の概念は広く知られていますね



こちらも前回と引き続き対象関係論がベースとなっていますが、ビオンの理論に焦点を当てています

というか、前回の本の中核にビオンの理論があったと言えるかと思います



対象関係論の理論やビオンの提唱した概念を詳しく説明してくれています。


理論が中心ですが、具体例を提示してくれているので理解しやすいと思います。

概念自体は難しく感じましたが、文章自体は誰にでもわかるように表現してくれています。




内容ももちろんいいんですが

中でも

本のそで(あの部位ですよ、あの部位)に書いてあった言葉が響いたんですよね

 



『私たちはビオンが指し示しているところだけを見てはなりません。もっと大切なことは、そのときのビオンの視点を見ることなのです。

それは、ビオンが暗に示してはいても明言しないことです。なぜなら、彼にとっては当たり前すぎることだからです。』



本当にそうですね

当たり前すぎることはわざわざ口にもしないし特別意識もしないんです


私たちの日常でもそうだと思います






話が少し逸れてしまいますが

ちょっとした自分のエピソードを出していいのであれば



私がカウンセリングに通って数年たったとき、始めて"自己否定"の話を出しました


そのときのカウンセラーさんの反応が印象的で


「やっと出てきたね!」


と言われたんです。

恐らく、ようやく自分の中の自己否定に気づいた、という意味で仰ったのだと思います


ただ、私自身はそれを不思議に感じていました


なぜなら"自己否定"の感覚は私にとっては当たり前すぎることであり


わざわざカウンセリングの場面で口にしようとも思わなかったし、言葉にしなくても気づいていたからです


当時は確かに自己否定に苦しんでいたものの、主訴も話す内容も全く別のことを話していたんです



わざわざカウンセリングで取り上げることですらないと思ってました




これは誰でもそうなんじゃないかと思うのですが


特別意識する必要もない当たり前の感覚ほど、言葉にはしていないし、なおかつその人の骨組みの大部分を作っているのではないかと思います


心の奥底にあるものほど簡単には語られないと言えるでしょう

 





また、少し話を拡大してみるなら


その人の持つ特技や良さも意外と本人の無自覚なところに現れているのではないかと思うのです


なくて七癖といいますもんね


良い面も不思議な部分もたぶん本人は無自覚


この場合、内面や意識とは違って周りには一目瞭然だったりしますよね



でも本人は知らない



他人とは違うその人らしさはたぶん自分では気づいていないけど、誰もが持っているもの

なんでしょうね




本の内容とは逸れてしまいましたが、



隠れて見えないところ

言葉にされないことにほど


重要なものが詰まっているのかもしれません





ビオンは「自分自身であることに努めたひと」だそうです

分析家はビオンのようにただなるのではなく、自分の考えを創り、持つ必要がある、とのことです。


なぜなら、『私たちはアナライザンドに自分で道を拓くことを求めているのですから、私たち自身がそれなしにすませることはできないでしょう。』



ビオンの理論、そしてビオンという人間に迫り、どこまでも精神分析を追求してきた松木先生の言葉には深み、そして重みがあります


ビオン、そして松木先生の言葉の一つ一つの重みを感じたい方はこちらの本に実際に触れてみてください





余談ですが

対象関係論勉強会と言って、対象関係論を3年かけて学べる講座が毎年開催されています

現在は精神分析基礎講座と名称が変わりより幅広く学ぶことができるようになっています


精神分析や対象関係論に関心の強い方は、

チェックしてみてくださいね



対象関係論勉強会

http://www.taishoukankeiron.com/texts/02curriculum/2019.html